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浅井久仁臣の国際情勢ジャーナル(6/19)




浅井さんの国際情勢ジャーナルを転載します。
(許可はいただいております)
ここからの無断転載はご遠慮ください。


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~○-○ 浅井久仁臣の         浅井久仁臣は30年間に亘り戦(紛)
` ⊃  国際情勢ジャーナル     争を追い続けてきたジャーナリスト。
\""“    2006年6月19日号     イラク戦争、パレスチナ問題等を
http://www.asaikuniomi.com  テーマに全国各地どこでも出向き
                    ますので講演等ご相談下さい。
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《目次》
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  私の視点 マスコミ批判特集

  ▼その1 
   W杯 日本の苦戦 “戦犯”はTVだ

  ▼その2
   福井日銀総裁の扱いにひと言
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━━▼私の視点━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

私の視点(マスコミ批判その1)W杯 日本の苦戦 “戦犯”はTVだ
【筆者注:これはクロアチア戦を観戦直後に書いたものです】

 サッカーW杯に参加している日本ティームがクロアチア戦で引き分け、決勝リー
グ進出はほぼ絶望的となった。

 これで朝刊各紙は、初戦同様、スポーツ紙を含めてズィーコ監督の采配に批判
集中の記事を載せるだろう。

 私はスポーツ大好き人間だが、残念ながらサッカーは門外漢である。英国に住
んでいた頃、TV中継をよく見ていたから選手達の動きの善し悪しは分かるが、作
戦などについては全くといっていいほど分からない。だからここでは「ズィーコ
戦術」が適切であったかどうかの判断は出来ない。

 だが、それだけに、全体の状況や選手一人一人の表情や動きを客観的に見るこ
とができると思っている。

 まず、第一戦だが、私の見たところ、勝負はコイントスでほぼ決まっていた。
それは、気温が30度近くにまでなる中での試合で、コイントスに勝ったオースト
ラリアが圧倒的に有利なサイドに立ったからだ。試合をヴィデオに録られた方は
今一度ご覧になると分かるが、後半になると陽光がTV画面の右側に傾き、オース
トラリアのディフェンス陣は日陰の中でプレイが出来ていた。一方、日本はと言
うと、その逆で、川口を含むディフェンス陣は強い日差しで体力を奪われていっ
た。ただでさえ、体格に大きな差があり、競り合うだけで大きく体力を奪われる
立場の日本選手にとって、これは大きな不利となった。

 さらなることに、日本側からすれば、後半、日差しは逆光で飛んでくるボール
が相当見にくかったはずだ。

 私の見たところでは、その二つの大きな要素が最後の10分で3点を失うという稀
に見る惨めな結果を招いたと思える。

 それでは、クロアチア戦はどうかというと、初戦と違って陽光は後半に入って
も競技場内では大きな変化を見せなかった。また、試合の内容も中田選手などが
言うように日本が勝ってもおかしくないものであった。だが、これがサッカーの
サッカーたるゆえんだ。サッカーには、「判定勝ち」なるものはない。いくら試
合を優位に進めようと、蹴ったボールがゴールを割らなければ勝つことはできな
いのだ。イタリアが昨日も格下のアメリカ相手に後半は圧倒的に押し込んだが、
引き分けに終わっている。

 昨夜の試合後、解説陣は2つの試合(対豪州、クロアチア)を同系列で論ずる者
が目立った。システム論と戦術論がごちゃ混ぜの解説など意味が無いことである。
また、ズィーコ監督の采配ミスを指摘する意見もあったが、私は彼は本当によく
やったと思っている。初戦の選手交代で、小野ではなくより攻撃力のある選手に
すべきであったと問題にする声があるが、1人の選手の能力で戦術を語ることほど、
無意味なことはない。戦術はあくまでもティーム全体の機能を鑑みなければなら
ないからだ。聞いたところでは、前回のW杯の日本ティームの監督であったトルシ
エ氏もズィーコ采配に大きなミスは無かったとコメントしたそうだ。

 もし、日本が決勝トーナメントに進めなくなれば、恐らくマスコミによる“戦
犯”探しが行なわれ、ズィーコが槍玉に上がるだろう。だが、私は彼の試合後に
行なった記者会見で漏らした言葉に「戦犯」が隠されていると思う。それはTV業
界だ。

 日本で高視聴率を取るために、試合時間を現地の3時にごり押ししたのは誰あろ
う、日本のTV業界だ。選手達もズィーコ監督同様、もっとプレイのしやすい時間
帯で実力を発揮したかったに違いない。言葉の裏にそんな不満が見え隠れした。
もちろん、競技場の環境などは、双方にとって同じ条件という意見もあるが、そ
れは、スポーツの真髄を知らぬものが言い放つ「根性論」に近い科学性を一切無
視したものだ。それらの条件が勝敗に影響を与えぬはずは無いし、得て不得手、
向き不向きがある以上、大きな影響を与えることもある。

 ズィーコが記者会見で、日本の試合時間を真昼間にしたのは「犯罪だ!」と発
言したことが、私がこれまでに見たTVでは紹介されなかった。しかし、彼の通訳
ははっきりと英語で「犯罪」という言葉を使っているのを私は聞いた。

 もしこれをお読みの方で、サッカーが大好きな方がおられれば、間違ってもズ
ィーコや宮本を責めないでいただきたい。責任はNHKと民放、そして広告代理店に
あるのだから。怒りの矛先をぶつけるのであれば、そちらに向けるようにしよう。

 かつて、46年前のローマ・オリンピックを真夜中、時に明け方、ラジオにしが
みついて聞いていた「少年A」は吼える。

 「どんな悪条件をも乗り越えて実況を見聞きしながら応援するのがホントのフ
ァンというものだ!TVよ、スポーツを汚すんじゃねえ!」

━━▼私の視点━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

私の視点(マスコミ批判その2) 福井日銀総裁の扱いにひと言

 福井日銀総裁の村上ファンドへの関与が取りざたされているものの、今ひとつ
世論の盛り上がりに欠ける。それは、いつも私が書いていることだが、マスコミの
報道に原因がある。週末の主要各紙を見ても分かるように、関連記事はほぼ一(ト
ップ)面から消えてしまった。確かに、関連記事は今もちらほらと散見できるが、
あまり目に付くものではない。また、これまでにも批判的な取り上げ方をしている
が、普段の勇ましい報道振りからすれば大人しいものだ。

 この問題を、秋田の男児殺害事件のように連日、「てえへんだ、てえへんだ、
お上の台所を牛耳る金庫番がとんでもねえことをしでかしやがった」と、報道し
まくり、本人を付回すだけでなく、家族や関係者まで追い回していたら、怒り狂
った市民達は日銀の前に押しかけているかもしれない。いや、まあそこまでいか
ないにしても、小泉さんが落ち着かない状態に追い込むことは出来るはずだ。

 ところが、マスコミは、相手が一市民であれば正義を振りかざして平気で袋叩
きにするのに、藤井総裁のような公人になると、追及の手を途端に緩めてしまう。
いや失礼、「過熱報道」にならないように「気を配る」。

 こういったマスコミ報道のその訳は奈辺にありやと聞かれることがあるが、私
はズバリ、現場(取材と編集)の人間の意識の問題と答えている。具体的に言え
ば、原稿を書く記者(TVの場合はディレクターや記者)や、上がってきた原稿の
生殺与奪の権を握るデスクに「本質を見抜く」眼がないからだ。

 秋田の男児殺害事件のマスコミ報道について書いたように、過熱報道がどのよ
うな波及効果をもたらすか、という視点すらない(持てない)人たちに、藤井総
裁の問題の本質を見抜けというのはどだい無理な話かもしれないが、自分の置か
れた立場を冷静に見つめれば、そんなに難しいことではない。

 新聞記事や専門家の論評に、「民間人であった時にやったことだから問題なし」
とするものも見受けられるが、冗談ではない。だとしたら、日銀総裁になる時、
ファンドを処分しておくべきであったはずだ。藤井氏の釈明を聞いていると、そ
んなことも分からないのかと情けなくなってくる。また、記者会見でそのような
釈明を聞いて、藤井氏に突っ込んだ質問が出来ない記者も記者だ。

 日銀と言えば、一国の経済の根幹部分を牛耳る中央銀行だ。米国で言えば、連
邦準備制度理事会(FRB)、英国では、イングランド銀行にあたる。国の経済に関
わる情報の全てを握るだけでなく、銀行への貸出金利や世の中へのカネの出し入
れを操作出来る、経済政策のいわば「本丸」だ。そのトップである総裁がこんな
投資に手を染めているというのは、日銀の役割を分かっているものであれば、い
かに許されない「悪事」であるかということは分かるはず。案の定、米英国の新
聞は、この問題に手厳しい論評を加えている。

 このメルマガの読者には、少なくないマスコミ関係者がいる。これを読んだら
今からでも遅くはない。社を挙げてこのような不正を質すキャンペインを張ろう
とデスクを含む編集幹部に迫ろうではないか。そして、このような非見識で、非
常識、なおかつ厚顔無恥な男を総裁の座から引き摺り下ろすまで論陣を張ろうで
はないか。それでこそ、あなた達もジャーナリストだ。
 
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  浅井久仁臣の
  「暇があったら、遊びにおいでよ『私の視点』」
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  発行人:浅井久仁臣(あさいくにおみ)ジャーナリスト
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